酒ねこの何気ない日常

こころに移りゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつけてみる。平日ほぼ毎日更新(予定)。土日は気が向いたら更新。

「光圀伝」読み終わった:日刊酒ねこ196

 

冲方丁さんの小説「光圀伝」を読了。

  

光圀伝

光圀伝

 

 

史実に則った時代小説ではあるんだけど、冲方さんって史実という枠組みのなかで登場人物を大胆に動かすのがうまいなぁ、と思ったりした。

 

以下、致命的なネタバレはないけど、ネタバレ嫌いな人はスルーでお願いします。




「光圀伝」は大きな謎をベースにして進んでいく。光圀が老齢時代に大きな事件を起こしたんだけど、それをなぜ起こしたのか?を述懐するような感じ。また時間軸が2つに分かれており、合間合間に老齢の時勢を串の様に挟みつつ、過去から老齢期に渡っての光圀の成長を描いていく形式。

 

まず子供時代のやんちゃっぷりが面白い。個人的にはこのあたりの話が一番良かった。加えて兄弟の話とか義の話とか志の話が面白い。人生の目的とはなんなのか?をエネルギッシュに探す様が読んでいて本当に心地よい。

 

ただ子供時代はめっぽう面白かったけど、大人になってからは普通の展開になってしまう。物語が進むにつれて光圀の人生の目的が曖昧になってきて、跡継ぎを決めるあたりで物語の大きな山を越えてしまう。加えて、とにかく人が死にまくる展開なので、読んでいて心が重くなる。ただ冒頭の謎が大きな謎としては残りつづけるため、それが大きな牽引力になっていて読む手が止まらない。

 

途中で事件の当事者についてようやく推測が付く。というか、事件に当事者になってびっくりする人物ってあの人以外にはいないので、消去法と言えば消去法でわかったんだけど。

 

個人的に思うこの小説の瑕疵は「光圀が大人になって大きな目標がなくなった」、というところかなと思った。史書編纂に命のすべてを賭ける!みたいな方が、最後の行為の大きな理由付けになる気もした。あと、光圀が家臣に対して、「義」が大切なのではなくて、「後生に意思を伝えるのが大切」という事を伝えるシーンがいくつかあれば、最後の陰影がより引き立つ気はした。

 

でも事件の当事者の執念(というか義の追求)もすごいなぁ、と思ったし、幕末に話をつないでくるとは思わなかったので、そこは単純にうまいなーと思った。

 

ともあれ全体としてものすごく面白い小説なのは間違いない。読んで損なし。できれば、「天地明察」を先に読んだ方が良いかも。

 

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昨日の酒ねこ:なし~

風邪が抜けず6日連続酒抜き。わりとやせてきたw 飲まないとやせるのはよく分かっているのだが、やせるために禁酒はできないオイラでありました。

 

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今日の出来事:

朝から夕方に書けて雨。会社に到着する寸前に雨がポツリポツリと降り始め、階段を上り職場に入ったときには外はすっかり雨模様。勝ち負けはないけど、何となく勝った気分。体調不良は相変わらず。のどの痛みも抜けきらないけど、峠は越したかなという感じ。明日の天皇杯生観戦はどうしようかな、という感じだけど、できれば見にはいきたいなと思ってる。

 

あと、iPhone5sの機種変も週末にこなしておきたいところ。4年弱に渡る2台持ちも解消するかとおもうと感慨深い。今のガラケーは「チーズスイートホーム」仕様になってるので手放すのがちょっと寂しい。まぁ、出会いがあれば別れもあるということで。